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梁山泊茶論 異人編 第6回

大澤真美さんと考える「貫く力」

RYOZAN PARK LOUNGEはいつもと違う雰囲気に包まれた。中央のテーブルを囲み、登壇者も参加者も主催者も同じ目線で、中央のテーブルをぐるりと囲むスタイルに設定。テーブルの上に置かれたローソクは、ゆらゆらと灯りが揺れていた。

いつものようにUtaEさんのムックリ演奏から。風のような、鳥のささやきのような独特の音色は、会場の雰囲気とあいまって、気分はまるで北海道の森の中。体も心もゆっくりと解きほぐされていく。

今回のゲストは、梁山泊茶論第3回に参加したことがきっかけで、UtaEさんと知り合った「まみーた」こと大澤真美さん。お互いの波長があったのか、すぐに意気投合。梁山泊茶論・異人編を締めくくるゲストとして、UtaEさんが声をかけた。

まみーたがチェックインと呼んでいる対話がスタートした。彼女が、そのきっかけとなる3つのQを提示する。「この場において呼ばれたい名前は何か」「何がきっかけで今日ここに来たのか」「最近関心を持っていることは何か」。ひとりひとりが応え始める。

参加者はRYOZAN PARKのメンバーのほか、UtaEさんやまみーたとつながっている人、RYOZAN PARKのイベントに参加したことがきっかけで茶論のことを知った人などさまざまである。まずは1つめのQ。姓か名か、あるいはニックネームか、という選択だけでなく、「○○さん」「○○ちゃん」などとつけるのかつけないのか。どう呼ばれたら、心地よいのか。自分が納得できるのか。単純な問いのようで実は奥が深い。

「異人とは何か? 自分は異人なのか?」とまみーたが疑問を呈する。さらに、自身のアイデンティともつながる深いテーマへ。そして、どうすれば自由でいられるかと問いかけた。

まみーたの経歴は実にユニークだ。幼稚園を中退し、保育園に逆戻り。中学は住まいから離れた学校へ越境入学した。高校は1学期で中退。貿易会社に勤めた後、ドミニカ共和国で3年ほど暮らす。そのとき出会ったドミニカ人との間に子どもを授かったが、結婚はせず、シングルマザーを貫いている。37歳のとき、看護学校に入学。看護師、保健師の資格を取得したあと、希望がかなって就職したが、1週間で追い出された。その後、環境省の仕事をしたり、北朝鮮に関する調査をしたり。大阪・西成区で日雇いの人たちの一緒に暮らしたこともあるという。まさに、破天荒を絵に描いたような人生。そのときそのときの違和感を大切にし、オルタナティブを求め続けてきた結果だという。2022年、『ことばの焚き火』を仲間と共著で出版。現在「対話」をキーワードに活動している。

「『対話』とは何か」と参加者から質問が飛ぶ。皆が車座になって焚き火を囲み、各人が自分の思いを語る、それがまみーたのイメージだ。正直にありのままの自分を放つことがポイント。そんな彼女の思いが今回の会場のセッティングともつながっているのだろう。

進行スケジュールも、語る内容もいっさい縛りなし。参加者から投げかけられた言葉を拾うもよし、流すもよし。まみーたが目指す対話の世界は、あくまで自由で自分らしく。

『何を見ても何かを思いだす』というヘミングウェイの小説のタイトルに惹かれたまみーた。誰かが何かを語ることで、自分が喚起させられることがある。どう感じるかは人それぞれだが、それこそが大切したい何かだと語る。そんなメッセージで、まみーたがチェックアウトと呼んでいる対話の場を閉じた。

UtaEさんが異人だと感じた人たちがゲストとして登場した梁山泊茶論異人編。皆それぞれに自分の世界にこだわり、何かを追い続けてきた人たちだった。まみーたもそのひとりだ。人と人とがつながる『対話』という可能性。これからどんな広がりをみせるのか、期待が膨らむ。

取材・文 伊藤ひろみ

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